苦労している話について、こういう意見があります。
「その程度、自分も受けた。でもちゃんと生きれてる」
「○○と比べれば、大したことない」
「自分なんて、~~で。それに比べればお前は~で、まだましだろ」
しかし、苦労、受ける苦痛は、人によって違うのです。
そもそも、その時の実際の状況を知っているのは、その当事者だけなので、その現場を、さらに言えば、そう感じる至った今までの背景を知らない他人が、それを否定するのもどうかと思うのです。
元首相襲撃事件で、容疑者の家庭環境が明らかになり、家庭環境、親ガチャに対する理解を示す意見が出るようになったのは、悪くないと考えていますが、同時に、以下のような心配もしています。
「なんだその程度。今回の容疑者に比べれば、お前は恵まれているじゃないか」
と比較して苦しんでいる方を否定する話が出てきそう、ということに。
だから何なんだ
「毎日8時間勉強しても落ちる?○○は10時間やってるぞ。その程度で」
「不幸?事故で亡くなった人を考えれば、お前は幸せだ」
こんな感じで、自分より大変な思いをしている人を基準にして、人の努力、苦労を否定してくる方がおられます。
・・・。
だから何なんだ、って話です。
包丁で指を切って、痛い思いをしている人に対して
「包丁で刺されて亡くなった人に比べればたいしたことないだろ」
と言うようなものです。
・・・
知らんがな。
痛いものは痛いです。
受ける苦痛度合は、人による
軽く叩かれるだけでも、ものすごい苦痛、ストレスを感じる方もいれば、その程度は大丈夫だけど、悪口、罵倒には少しでも耐えられない、という方もいます。
人によります。
自分が大丈夫だから、もしくは、それをされて耐えている人がいる、という理由で
「そんなことで苦しいとか言うな」
と言うのは、違うように思います。
私を比較対象にされたくない
私は、10年以上就職活動を続けています。
例えば、数ヶ月就職活動をしている人が、
「決まらなくてつらい。もう嫌になった」
ということに対して
「10年以上している人もいるんだ。それくらいで~」
と、私を比較対象にして、否定してほしくないです。
私自身も、人に対して絶対に言いません。
私としては、10年以上就職活動をしてきたのは、本当につらいです。
なので、正直、これと同じ苦痛を他人に勧めようとは思いません。
これだけのつらいことを、他の人にもさせようとは思いません。
軽々しく「お前もやれ、耐えろ」、と言える程、楽なものではなかったので。
あとがき
今つらいことに対して、それよりつらいことに耐えてる人がいる、と言われても、何も響きません。
下手したら、
「今こんなにつらいのに、これ以上つらい目に合うのが人生なの・・・じゃあもう、人生いいや」
となりかねません。
酷い目にあった方、苦労した方が、テレビ等で知られるようになり、それを基準にして
「あれに比べれば、お前はましだ」
「あれぐらい必死にしたのか」
といって、その人を責める意見が出かねないのは、ちょっと怖いなあ、と思っています。